浮世の黄昏

労働と旅行について書いていきます。雑記中心。

ブラック企業体験記① ~就業編~

前回、無事に即日内定をゲットしてから就業の日々です。因みに私は一週間という圧倒的な速さで退職しました。凄まじいスピード感だと未だに惚れ惚れしています(自画自賛)。

 

ukiyo-no.hatenablog.com

 

↑前回です。

 

 

 

 
 

入社日

ベンチャー企業だったため、大手企業のような大々的な入社日はありませんでした。当日行くと同期の安田君(仮名)と顔合わせ。一人しかいませんでしたが、「一緒にやっていこうな!」っていう謎の連帯感が生まれていました。多分始めての正社員で緊張してたんだと思います。

 

その後はまず電子ブレーカーについての座学。。。があると思っていたのですが、上長は「ぶっちゃけこっちでスクリプトマニュアルあるから覚えなくていいよ。」って言われたんで「ほ~ん、その電〇ブレーカーってやつ使えば電気代が安くなるのか…」みたいな漠然としたイメージのまま午前中が終わっていきました。未だによくわかってません。

 

 

テレアポ

午後は上長が蕎麦屋に連れて行ってくれました(何故か他の社員はおらず。理由は翌日判明しました)。お代も全て払ってくれたので、「ここ良い会社だったんじゃ!?」みたいな感じで同期と喜んでいましたが、本当の地獄はここから始まります。

 

昼食後オフィスに戻ると先輩方を紹介されて挨拶周りをしました。言っても全社員数が15人とかなんですぐ終わりましたが…。α、β、Σというグループがあり、私はβ、同期の安田君(仮名)はΣグループへと編入

 

自分の机を見ると、置かれているのはトークマニュアルと電話機のみ。PCは管理者(チームの上長)にしか与えられておらず、「お前らはこれから電話を架けまくる機械になるんだぞ」と言われているかのようでした。

 

そこからはスクリプトマニュアルを見ながら、ひたすら電話。主に幼稚園や療養所なんかを中心に架けろ!と言われ、分厚い電話帳のようなものを渡されました。1000件の名簿。「マジかよ…」とゲッソリしながらも、まずはマニュアルに目を通す。すると目を疑うような文言が。

 

ざっくり言えば、

・電力会社と勘違いさせろ!

・代表以外には取り合うな!

・怪しがられたら相手の勘違いにして一方的に切れ!

・必ず検針票を手元に用意させて安くなるか計算しろ! 

 

…といった形。

いかんでしょ…!と思いながらもマニュアルに沿って電話をしていく。大抵が「おたく何?〇〇電力さんなの?違う?じゃあ何?」と問い詰められるので、「あ、勘違いされているようですので、また改めますね~^^」と相手が勘違いしている。こちらに正当性があるんだ!と言わんばかりに電話を切っていく時間が多かったです。心苦しさしかなかったし、申し訳なさで胸が潰れそうでした。

 

初日という事で、架電ノルマは300件でした。テレアポの営業会社では普通なのかもしれませんが、上記で出た文言などで精神がゴリゴリ削られていた私は早くも「この会社でやっていけるのか…?」と疑問を抱くようになっていました。

 

 

2日目~朝礼

翌日出社すると、初の朝礼でした。「うちは体育会系じゃないからw」という言葉を鵜呑みにしていた私は「業務報告して架電していく流れかな」とボヤっとしていたら社長がこう言い放つのです。

 

社長「αグループ!今日の目標はァ!?」

α「はいッ!本日は600以上架電!アポイント30を目指します!」

社長「目指す?オイ、それだけか?」

α「50!のアポイントを取りまぁす!やります!!」

社長「よっしゃ、吐いた唾飲むんじゃねぇぞα!あぁ?わかってんなァ?」

αグループ全員「「「はいっっっっ!!!!!!」」」

 

 私「?!??!?!!?!!」

 

 

えっ何…。

 

そんなこんなで我らがβチームも目標を掲げ(大体同じぐらいだったと思います。放心状態だったので記憶が曖昧です)、最後に「じゃあ皆で掛け声!行くぞッ!!」という〆の言葉が。えっ何それ知らん…。

 

戸惑っていたところ、横にいた先輩(名前は未だにわからない)が「思い思いの叫び声を腹の底から出して、気合を入れる儀式だ。気張れよ。」と謎のエールをくれました。「どすこい!」やら「キエェッッッ!!」やら「やったーーー!」など多種多様な“気合”を聞かせて貰いました。私は泣きたかったので、多分嗚咽みたいな声出してたと思います。もう無理そう。

 

 そこからはひたすら電話&電話&電話。絶対非通知で架けさせられる上に、怪しさ全開の営業トークも相まって、まともに話を聞いてくれる人はせいぜい30件に一人いれば良い方でした。晴れて検針票を持ってきてくれる場面まで到達するとモニタリングしていた上長がガッツポーズしながらあとは俺が決める!」と言いながらバトンタッチ。その繰り返し。もう何のために生きているのかを見失いかけてました。

 

あっという間にお昼が来て、またお蕎麦をご馳走になろう(クズ)と思っていた矢先、別のチームの先輩がお弁当を食べようと包装紙を開けようとしていました。するといきなり机を蹴りだす社長。もう私は困惑の嵐です。何が起こっているのか全くわかりませんでした。

 

 社長「アポ一件も取ってねぇのに一丁前に飯食ってんじゃねーよ!何様だお前は?あぁ?」

 

Σ先輩「すみません!戻ります!」

 

私「!?!?!??!?!?!?!?!!」

 

 

 何…えっ?何やってんの…?

 

もう悟ってしまいました。あぁ…。ここは、くるところじゃなかったな、と。チラリと説教されているΣチームの同期である安田君(仮名)を見ると少し涙目になってました。わかる。

 

そうして見習い期間である自分もそっと席に着き、電話の続きを架け始めるのでした。

 

 

つづく。